1日目 アンコール・ワット

 12世紀後半に、スーリヤヴァルマン2世が建立したヒンズー教の寺院。正確に西を向いているため、日の出を見るため早朝から訪れる人も多い。この寺院(「ワット」は「寺院」の意)は、それを囲む堀、参道、3つの回廊、中心部の五基の塔とそれを結ぶ階段や石門などからなっている。境内には経蔵や池が各所に配置されていて、ところどころの「天女アプサラス」の彫刻にはカンボジアを感じる。

 参道は190メートルあり、入り口にはライオンの像がある。欄干は7つの首をもつナーガと呼ばれる大蛇を様式化したもので、手すりの終点にはそのナーガの彫刻がある。参道の途中に、巨人の足跡の敷石がある(写真左)。探して歩くのもいいだろう。参道は西大門に達し、その左右の門は車馬が通るために腰石は積まれていないため、「象の門」と呼ばれる。経蔵・聖池を越えて第一回廊へ向かう。ここで15段くらいの階段をのぼることになるのだが、一瞬アンコール・ワットが見えなくなる。そして階段をのぼるごとにアンコール・ワットが出現するようになっている。効果的な設計である。
 第一回廊は1周
760メートルあり、「マハーバラタ物語」「ラーマヤナ物語」「乳海攪拌(ヒンドゥー伝説)」を含む様々なレリーフが刻まれている。ひとつひとつ見て周ることで、当時のカンボジアを偲ぶことができる。

 第一回廊と第二回廊の間にある正面中回廊には、1632年にここを訪れたといわれる「森本右近太夫」の遺筆がある。必見。

 さて、4つの洗礼地をこえて中央本殿へ。第三回廊へ行くには、かなり急な階段をのぼらなければならない。上りはいいが、下りは怖い。聞いたことはないが、落ちて死んだ人もいるんじゃないかなあ。頂上から見る景色はすばらしい。本当に森の中にあるんだと思った。過去も未来も飲み込んでしまうような静寂がここにはある。いつまでも黄昏ていたい。

 毎日でも訪れたい場所である。

ガイドブックとして、「アンコールの遺跡」(今川幸雄著、出版社は「ぱんたか」)を持っていくことをお勧めする。カンボジアでも売っている有名な著書で、レリーフについて細かく説明されている。




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