アンコール・ワットから北1qに仏教寺院アンコール・トムの南大門がある。そして、アンコール・トムは一辺3q、つまり9平方qの広さを持つ。「トム」は「大きい」の意味で、カンボジア人はこれを大アンコールと呼ぶ一方、アンコール・ワットを小アンコールと呼ぶ。
バイヨン寺院
すべての道はアンコールに通じ、訪れし旅人にはバイヨンが微笑む。「バイヨン」がアンコール・トムの中心なので、この寺院に一日の半分から三分の一を費やしてもよい。この寺院自体は、アンコール・ワットほど大きくないので、まず回廊を彫刻を意識しながら周りたい。その後は、そこら辺にいる現地人をつかまえて(ガイドしてお金をもらうために勝手によってくる)、一緒に周るといい。バイヨン寺院は観音菩薩の四面像(「クメールの微笑」といわれる)が特徴で、これが196面もあるため、たくさんのシャッターポイントがある。彼らはそのポイントで写真を撮ってくれる。実は「東京ディズニーランド」のアトラクション「ジャングルクルーズ」の中に、この「バイヨン」が登場している。本物と見比べてみよう。
バプーオン
シャムとカンボジアの戦争に際して、カンボジアの王妃が王子をここに隠した、という伝説のある寺院。「バプーオン」とは「隠し子」という意味である。僕が訪れた当時(1996/11/4)は、修復中で中に入れなかったが、特に第二回廊のレリーフには一見の価値があるようです。向かって右にある大きな木は印象的。
象のテラス(右写真)
壁一面に象の彫刻が刻まれている。
癩王のテラス
「癩病の王」の彫像が安置されていたため、こう呼ばれているが、実際には、バラモン教の地獄神「ダルマラージャ」がモデルだと言われている。この彫像と、蛇を恐れかつ愛したアンコール文明にヒントを得て「癩王のテラス」という戯曲が書かれた。作者はあの三島由紀夫である。

ピミヤナカス
910年頃から国家支配の中心地となったと考えられている。それまで中心地だった「プノン・バケン」の石材を移転し再使用した、という記述があるからだ。崖のように急な階段をのぼるのもいいだろう。
男池・女池
当時の水浴場であるが、やたら大きいのでプールといった感じ。
プリヤ・ピトゥ
アンコール遺跡の中で美しいテラスのひとつに数えられている。あまり人が訪れない場所なので、どんどん進んでいくと怖くなる。もう二度と戻れなくなってしまうような。ここだけ時が止まったような場所である。
アンコール・トムには他にもいくつかの遺跡があり、上に挙げたものがベストというわけではないかもしれません。自分で見て確かめてみるのもいいでしょう。とにかくこれらを周っただけ(?)でも、歩き疲れてヘトヘトになります。