コパン遺跡へ(ホンジュラス)

10/5(日)

朝2:30に目が覚めた。4:00のタクシーには少し早いが、準備を始める。

タクシーで旧市街に向かいながら、空港からほとんど離れていないことに気付き、これからなんだなと思った。旅行初日だが、コパン遺跡に向かうことにしていたぼくは、HEDMAN-ALASというバス会社に向かった。$35でコパン・ルイナスというコパン遺跡近くの町(ルイナス=遺跡(ruins)で、遺跡自体がこの町の名前となっている)まで直行するとても便利なバスらしい。ローカルバスを乗り継いで国境越えする事を考えれば割高だが、コパン遺跡が17時closeであることと比較すれば、時間的にも乗り心地的にも悪くはない。

手続き済ませて待合室でバスを待っていると、カバンに札(コパン・ルイナス行き)を付けて、何かを話しかけてそのカバンを持っていこうとする。「トランクに入れるのか?」と聞くが、さっぱり言葉が通じない。まあ大丈夫だろう。

座席がタイヤの真上で、バス酔いしてしまった。紛らわすために目を閉じているとそのまま眠ってしまったが、目覚めたときには乗客は全員バスを降りていた。「お、休憩か」と思ってバスを降りると、闇レート換金のおじさんたちが話しかけてくる。何事かと思ったら、そこはホンジュラスとの国境だった。グアテマラ側で出国手続きをして10ケツェル(142円)。歩いて国境を越えてホンジュラス側で入国手続きに$1。バスはもうホンジュラス側に100mほど移動していたので、出発してしまうのではないのかドキドキしてしまった。もう少し国境越えの余韻に浸りたいのに・・・

国境を越えて30分もすると、バスはコパン・ルイナスに到着した。町は非常に小さくその割に安宿も多く、宿を探すまでもないほどだ。

宿をとって、町をぐるっと一周してみるが、中央公園を中心に300m四方にほぼすべてが凝縮されたとてもちいさな町だ。30分もかからず全体を歩けてしまった。

あまりにも暑いので、シャツ一枚で歩いていたのだが、白い下着だったので少し恥ずかしくて、赤いTシャツを買った。中央公園からコパン遺跡までは約1kmなので、歩くことにした。とてものんびりした景色に飲み込まれて、俗世間から忘れ去られたような感じがする。

コパンに着いて、入場券売場へ。博物館と合わせて$15。博物館にはロサリラ神殿のレプリカがあって興味深いが、やはり作り物と思ってしまうと面白味に欠けまくる。レプリカでもいいから見たかったのはマルガリータ(ロサリラ神殿の下にある土台的な神殿)のレリーフだったが、かけらすら記されていなかった。(マヤ文明においては、神殿の上を覆うようにどんどん神殿が造られていった。)

博物館を出てコパンへ向かうが、いつもと違う感じがするのは緑のせいだ。それも日々の雨によって、とてもみずみずしい緑に囲まれているのだ。そんな道を歩いて入り口にたどり着いた。

「コパン」。この旅は上野のマヤ文明展から始まった。グラン・プラザのステラAとB。5体のステラを建てたという第13代「18ウサギ王」という名前も面白い。(王名が、マヤ文字を使って、数字の18とウサギの絵で表される。)そして、独特な球戯場。展覧会では、捕虜が生死をかけて試合し、負けたら殺されると説明されていた場所だ。球戯場の奥には、古代マヤ文字解読を大きく前進させた「マヤ文字の階段」がステラMに並んでそびえ立っている。雨による浸食を防ぐためか、大きな仮設屋根で覆われている。

ぐるっと遺跡を回って、西広場の祭壇Qは、第1〜16代(16人)の王像が刻まれていて、16代王が初代王と向き合っている。コパンには6世紀前の王像まで祭壇に刻めるという決まりがあり、この決まりがコパン王朝閉幕の謎を解く鍵ではないかと考えると面白い。この小さな祭壇がそんなに大きな意味を隠し持っていると考えるとなんだかわくわくしてしまう。

遺跡の雰囲気を味わって、のんびり過ごしてみた。好きなものを最後に食べるぼくにとって、この中米旅行でコパンに最初に来たのは、とても違和感のあるものだったが、明日以降の国境越えや長距離移動を考えると、気を抜くことはできなかった。

遺跡を出る前から外にやたら大きな雲が現れていて気になっていたが、出た直後に思った通り大雨だ。町で出会ったドライバーが運良く外にいて、宿までつれて帰ってもらった。宿に戻って、暑くて疲れたのか時差ボケか、とにかく眠くてぐっすり眠ってしまった。目覚めたら外は暗め。このパターンはイランとそっくりだ。しかし、ひとつ違うことがあった。「ない!カメラがない!」一気に目が覚めて外へ。たぶん帰りの車の中だ。しかし、あのドライバーは近くにはいない。15歳くらいの少年が少し英語を話せるので、「カメラをなくしてしまったんだけど、英語を話せるあのドライバーがどこにいるか知ってる?」と聞いて、連れていってもらった先はカメラ屋。「違う違う。あのドライバーは?」となんとか連れていってもらったのは中央公園の先。その男は客の呼び込みをしていた。大きく手を振って彼を呼んで、車の中を探させてもらったら発見!「あったー!ありがとう!」。ものすごくうれしくて、周りの4人ほどと握手をしてしまった。

気づけば大雨が降ってきたので、ダッシュでホテルに戻った。ようやくシャワーを浴びて、体も気分もすっきりだ。明日はどうしようかなぁ。あー、疲れた。


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