キリグア遺跡へ(グアテマラ)
10/6(月)
目覚めたら2:30。昼寝もあって体調は万全だが、コパンルイナスは静かな町で外へ行っても何もない。ガイドブックを読んだり、テレビを眺めて過ごしているうちにまた眠ってしまった。
6:30、少し町中を散歩だ。涼しくてとても気持ちがいい。今日は月曜日。子供たちが通学している。治安がいい証拠だ。コパン・ルイナスの中央公園で一息。小さいけど、とても南国味あふれるきれいな円形公園だ。とても気に入ってしまった。
バス停(?)は何の目印もない単なる交差点だ。人や車が集まっていて、呼び込みをしている。いつでもグアテマラ国境まで行けそうで安心した。一度ホテルに戻って、7時過ぎにホテルをチェックアウトしてバス停へ行った。「グアテマラ?」と聞かれて、「グアテマラのキリグア遺跡に寄って、フローレスまで行きたい」(地図)と言ってみるが、まったく通じない。地名だけを聞き取ってか、「OK」と言われたので、40レンピーラ(264円)払って、マイクロバスに乗り込んだ。カバンを車の上に乗っけられてしまい、貴重品が入っていないとはいえ、落ちやしないかとヒヤヒヤしてしまったが、30分もするとホンジュラスとグアテマラの国境のエル・フロリドに到着した。イミグレーションでホンジュラスの出国手続きとグアテマラの入国手続きを順次終えてバスに戻ると、「ここまでだ」と言われてしまった。「あの値段でキリグアまでは行かないよな」と一人納得して、国境向こうのバスに声をかけた。
「キリグア?」
「チキムラ」
こんないい加減なコミュニケーションに慣れてしまったぼくは、そのままそのバスに乗り込んだ。8時に国境を出発して、10時にチキムラ着。思ったより早く着いて、そのままキリグア行きのバスに乗り込む。
キリグア手前の小さなバス停に12時前に着いたが、急におなかが痛くなってバス停近くの出店にトイレを借りようとするが「トイレはないよ。あ、う〜ん。やっぱり奥に行っていいよ」という。
なんだかよくわからないが、そこまで行って納得。それはそれは立派なトイレで、とても自然味あふれる優雅な気分になってしまった。
さて、バス停に戻って2ケツァル(38円)でキリグア遺跡前へ。5分ほど荷台に立って、バナナ園をつっきった。いったいどこにいるのかわからなくなるような気がした。
キリグア遺跡の入口は、自然公園のようだった。鬱蒼と茂る木々の奥には遺跡の気配すら感じない。奥に入って遊歩道を歩くが、ジュラシックパークの雰囲気そのものだ。今にも恐竜が出てきそうなくらい、良くできた自然公園だ。しばらくするとサッカー場より大きめの芝生が現れ、数体のステラが点在している。この中にマヤ最大11m以上のものがあった。

キリグアはコパンの衛星都市で、次第に力を増し、コパンにうち勝って独立を果たした。コパン王朝第13代「18ウサギ王」の頃で、これをきっかけにコパンは皮肉にも衰退していく。そんなキリグアの雄姿さえ思い浮かばないほど、ただ静かに遺跡はたたずんでいる。ステラの奥に祭壇があるが、緑の茂る廃墟と化していて、何も語ってはくれない。
キリグアはとても静かで落ち着いた遺跡だ。バスでの乗り継ぎも不便で、大通りから離れた場所にあるのも手伝って、「忘れられた」古代都市という言葉がよく似合う。
キリグア近くの分岐点(トイレの場所)に戻って、やってきたバスに「フローレス?」と聞くと、とにかく乗れと言うので乗り込む。どうやらモラレスまで行くバスなので、別のバスに乗り換える必要があるらしい。モラレス着14:00。バスターミナルに着くが、降りようとすると「ちょっと待て。乗り換えはこの先だ。」と言われ、半信半疑ながらバスに乗り続ける。20分後、フローレス行きのバスを待つ交差点に到着。バス停でも何でもない単なる交差点だ。このバスは間違いなくフローレスに向かうはずだ、なんとなくそんな気がしてバスに乗り込む。なんだか体が慣れてきたように感じた。今ある時間が、日常から切り離されたものではなく、自然にぼくの体にしみこんでいる、至って普通の感覚のように思えた。そんなぼくを乗せてオンボロバスは突っ走る。
ガイドブックには載っていないが、大都市を数時間かけて結ぶバス網は、こういう国では必ず発達している。一般の人たちが移動や物売りに利用するためである。「なんとかなる」そんな感覚は、こういった背景に依存しているものなのかもしれない。
幾度と居眠りを繰り返し、フローレスに到着。18:00をまわっていて、あたりはもう暗い。せっかくなのでレジェノ橋を渡って、湖の中に浮かぶフローレス島のホテルを探した。2泊$18。シャワートイレ付きなら悪くはない。ゲストハウスのおばさんが英語を話せることも助かった。ティカルへのバスも手配して、夕食へ。行き先は「ラ・メサ・デ・ロス・マヤス」というレストランだ。100ケツァル(1,420円)でアルマジロ、イグアナ、食用ネズミなどいろんな肉を食べられるという店だ。迷わず注文したところ、見た感じはグロテスクのかけらもないが、ひとりで食べられる量ではない。味はといえば、ネズミは想像どおり鶏肉っぽい。アルマジロはぱさぱさしていて、日本人の感覚でおいしいとは思えない。ただ、背肉の部分が丸みを帯びていて、「うわ・・・これだよ」という実感が少し嫌だった。イグアナの肉は固い。とにかく固くて草履を食べているようだった。結局すべては食べきれず店を出るが、食べ残す習慣がないのでなんとなく気まずかった。
帰りは島をちょっと歩いて、インターネットカフェに寄り、ホテルに戻る。フローレスは湖に浮かぶ小さな島で、夜は橋を閉鎖するため歩いて渡っちゃだめだとゲストハウスのおばさんに言われていた。それもあって、島内は至って安全。夜でも自由に出歩けるらしい。それにしては静かすぎて怖いのだが・・・