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エジプトの遺跡を見て回ると、いろんな神々がレリーフに登場します。ブルーガイドに神々が載ってるので、見てみてください。ここだけでも30神以上。しかも合体したりしてパワーアップするし。キミ誰?って思うのがたくさんいる。そこで、ひとつだけ有名な神話をお話ししましょう。「ホルスとセトの戦い」です。
「大地の神ゲブと天空の女神ヌート。その子供として生まれたのが、オシリス・イシス・セト・ネフティス。オシリスはイシスと、セトはネフティスと結婚した。オシリスは人々にとても人気があったため、セトはそれをねたみ、オシリスを殺害した。しかし、イシスがオシリスを再生させた。そこで、セトは再びオシリスを殺害し、今度は、バラバラにしてエジプト全土にばらまいた。イシスはオシリスの部分を探して回った。トト神(トキの神)の援助もあって、オシリスを何とか復活させたが、ペニスだけは見つからなかった。ナマズ(ウナギの説も)に食べられていたのである。そこで神々の法廷が行われた。オシリスを冥界の神、セトを現世の神にするという。イシスは息子のホルスを現世の神にしてくれといった。対し、セトは、ホルスがオシリスとイシスの子供ではないとして反論。ペニスのないオシリスに子供ができるわけがないというのである。その後、ホルスは成長してセトに父の仇と復讐。神々も、王や大神官は子供を神から授かるものだとして、ホルスの血統を正当化。こうして、冥界の王オシリスと現世の王ホルスが確立した。」
この物語は、マリアの処女受胎のもととなっています。オシリスを壁画で見ると、顔色は緑で、足も揃えているから一本に描かれ、両手は胸でX字に交差しています。これは死者を表すポーズです。オシリスは、死んで冥界の王となったからです。オシリスに限らずこういう格好は死者を意味します。ツタンカーメンの王棺を思い出せばわかるでしょう。ちなみに生きていることを表すには、片足を前に出し、両手を下におろして描かれます。
最初に出てきたヌートについてちょっと触れておくと、天空の女神だけに、天井に描かれていることが多いです。神殿でふと天井を見てみよう。天井を囲むように描かれています。エスナ神殿がわかりやすいと思います。描かれた姿を見て、こう思うでしょう。「骨あんの?」
アブシンベル神殿のことです。でっかいラムセスの座像が4体並んでる遺跡です。いやあ、見ないと。一度は見てほしい。この感動は伝えられない。ピラミッドの制作技術、労働力もすごいけど、この神殿もすごい。こんなのがよく作れたなあと思う。紀元前1250年くらいって言ったら、日本は立派な縄文時代。縄文土器。
この神殿は、1950年代のアスワン・ハイダムの建設により、ナセル湖の湖底に水没してしまうこととなりました。そこで、ユネスコが救済キャンペーンを実施し、大規模な国際協力の下で、解体作業が行われ、100メートルほど北西のいまの場所に移されたのです。巨像の首をよーく見ると、ブロックに切り取られたのがわかります。そして、この神殿、実は、巨像の奥での神殿の上がドーム型になっていて、そこでハイテクな湿度調整をしているわけです。神殿横からここにいけるけど、いかない方がいいなあ。なんか作り物って感じに思えてしまって、ムード壊れちゃう。
2000年以上前のワニっておいしいのかなあ。イキがいいやつでもちょっとねえ。それでも犬は食べてしまったんですねえ。コム・オンボ神殿のことです。当然、いまはショーウィンドウに納められています。
どうして、ワニのミイラなんか?
まず、この神殿について説明すると、この神殿は珍しい構造になっています。ハロエリス神とセベク神が祀られている。ふつう、ひとつの神殿にひとつの神でしょ。それが、二人の神。発想はこう、「人間だって目が2つあって、耳が2つあって、鼻の穴が2つあって、左右対称になっている。神殿だってそれでいいじゃないか。」別にいいけどさ・・・ハロエリス神はホルス(はやぶさ)の発展版。そしてセベク神がワニの神様なんです。この神殿では当時、聖獣としてワニを飼っていました。そのワニがミイラとされ、ここにあるってわけ。カイロ博にいろんな動物のミイラがあったけど、ここでワニのミイラを見ておくのも、また一興。
後進国での買い物は楽しいもの。たいてい定価というものがなく、時には1/10まで値下げできる。それはあなたの腕次第。エジプトではおみやげ屋の並んだ市場を「スーク」といいます。ルクソールやカイロのスークは大きくて、2,3日見て回っても飽きない。観光のひとつとして必ず行こう。物価的にはルクソールがいいかな。お買い物のおすすめは、やはりパピルスでしょう。しおりの大きさのパピルスにヒエログリフ(古代エジプトの象形文字)で名前を書いてくれる。ひとつ100円もしないので、たくさんの友達に買っていける。象形文字で自分の名前が入っているパピルス。これはマジで喜ばれる。もっと高いものがいいという人は、銀のペンダントヘッドに名前(当然ヒエログリフ)を入れてもらうといい。500円ぐらいで買える。金もあるが、さすがに高い。でも日本ではありえないくらい安いので、ペンダントヘッドに限らず、金製品を買う人も多い。
買い物のコツを伝授しよう。どこの国でもそうだが、まず買いたい商品の物価を知ること。ひとつの店ですべてを済まそうとせず、いくつもの店で値切ってみる。3〜5店見て回れば、だいたいの相場はわかる。そして一番安かった店に行ってみよう。「おう、また来たか!」という感じで歓迎してくれる。エジプト人は「一度会えばもう親友」のように接してくれる。こっちもタジタジせず、”Friend!!”とか言って、握手でも求めれば完璧。さらに安くできる。いくつものおみやげを買いたいときは、いっぺんにいくらか聞かず、「これひとつでいくら?」「じゃあ、これとふたつならいくら?」「これたして3つなら?」という具合に小出しして、じわじわ値切った方が効果的。さらに、値段交渉中「ガリガリ!」と言ってみよう。「ガリ」とはアラビア語で「高い(値下げしてくれ)」という意味。観光客は英語で話すと思っている彼らは、現地語を使われて、もっと親しみを持ってくれるはず。あとは君次第。ちなみに、店にはいるとき「アッサラーム・アレイクム(こんにちは)」と言えばバッチリ。帰りは「シュクラン(ありがとう)マアッサラーマ(ばいばい)」。断るときは「ラ(NO)シュクラン(THANK
YOU)」
町を歩いていると、小さな子供たちが「バクシーシ、バクシーシ」と言ってついてきます。はじめは「何だよ、こいつら」と思っていたが、エジプトにはこんな宗教上の考えがあります。「裕福な人は、貧乏な人に施しを与えることで幸せになれる」。「バクシーシ」は本来立派な宗教上の思想なのに、貧乏な人は、金持ちは貧乏人にお金をあげて当然と思っている。つまり「金くれ」と言っているのです。くどいようですが、「バクシーシ」という言葉自体は「金くれ」という意味ではなく、先の宗教思想を意味しています。
あげる額も25ピアストル(10円以下。1ポンド=100ピアストル)でいいから大したことないし、子供は無邪気でまだかわいい。しかし大人はどうも納得いかない。手段がキタナイ。ある時スフィンクスの前でひとりの親父がよってきて「日本人は最高だ。一緒に写真とってくれないか。」と言ってきたので、快くOKし、写真を撮ると、「一緒にとってやったんだから金くれ」と。断ったら、"You're
crazy"と言って、どっかへ引き上げていった。むかつく。
これを逆手に取ることもできます。お金を渡せば何でもしてくれるのです。ピラミッドに登って警官に捕まっても、お金を渡せば見逃してくれる。それにしても「バクシーシ」が宗教的思想からはずれて、単なる金集めの道具として使われているように思われるのは、ちょっと寂しい。