ティカル(グアテマラ)

10/7(火)

寝過ぎなのか、相変わらず超早起きだ。2:30には目が覚めてしまった。朝5:45にゲストハウスを出て、ティカル行きのバスを待つ。何の表記もない単なるマイクロバスがやってきたので「これ?」と思うが、チケットを見せると「そうだ」と言うので、乗り込む。約1時間30分のバス旅だ。ティカル近くの森についても、バスはひたすら走り続ける。随分奥地まで来たところにチケット売場があって、さらにその先にティカルの入り口があった。

この遺跡は広大で、有名なT号神殿まで20分ほど歩く。周りがジャングルだという点が違うが、ヨルダンのエル・ハズネを思い出した。森の道はどうもわかりにくい。道標があるものの、こっちかな?こっちかな?と思って歩く。

おや?と目にした建物はまさにT号神殿である。しかし、真後ろなので、遺跡の背中が見える格好だ。こういう見え方をするのは意外だった。神殿を見上げながらぐるっと回ると、グランプラザだ。T号神殿の真向かいにU号神殿があり、グランプラザを囲うようにノースアクロポリスとセントラルアクロポリスがある。ここグランプラザは4つの神殿と芝生に囲まれた何とも落ち着いた場所なわけだ。

ノースアクロポリスに登ると、T号神殿とU号神殿が本当にきれいに見える。肌をじりじり焼きながら、さらに奥へと進み、自然に浸食されたV号神殿を横目にW号神殿を目指した。

W号神殿は頂上に登れる唯一の神殿だ。その理由はティカル最高の70mという高さにある。普通に登ると危険きわまりないが、板を組み合わせた階段が備え付けられていて、頂上まで行ける。さすがに息が切れるが、階段を上りきって振り返るとまさに圧巻だ。言葉では伝えられないすごさがある。はっきり言えるのは、ティカルがジャングルのど真ん中にあるということだけだ。そしてここでは時間の流れ止まっている。緑の一枚一枚が微妙に重なり合い、ティカルを飲み込んでいる。空を飛べるなら森の海面をすれすれに飛んで、遺跡全体を見渡してみたい。この景色を目にすれば誰もがそう思うはずだ。ティカルは1696年、原住民から逃げて迷い込んだスペイン人の宣教師アベンダーニョたちが発見したが、そのときの感動は計り知れないだろう。日差しが強く、肌が痛いが、この感動には代えられず、しばらく眺めていた。

W号神殿を降りて、「7つの神殿の広場」を抜け、再びT号神殿へ。のども渇いていたので、グランプラザの真ん中に座り、T号神殿を眺めながらジュースを飲んだ。なんとも言えぬ幸せを心から感じる。このひとときがぼくは大好きだ。T号神殿を目の前にして、なんだかこの数ヶ月の記憶が走馬燈のように駆けめぐる。小さなぼくがいくつも抱える大きな問題。課題のポイントは主観の問題にすり替えられ、いつの間にか定められたポリシーを我が物顔に振りかざしている。でも今のぼくにはそれが本当に正しくて、それさえも貫くことは難しい。折れない強さを、埋もれない力を、と考えている自分にふと気付き、ティカルの前で笑ってしまった。

園内で食事。スペイン語のメニューしかなく、直接聞いて、ベーコンスパゲティを注文した。30分ほど食事して、12時発のバスを待つがなかなか来ない。12:15頃、「SAN JUANバス待ちの人もこのバスに乗って」と中型バスに乗ることになった。ちょっとした代行だろうか。帰りは2時間ほど掛かったが、その間に大きな雲に覆われて、バスに小雨が当たりだした。ティカルは今頃大雨だろうか。

フローレスについて、念願の切手(ホンジュラスのコパン・ルイナスでは日曜日で買えなかった)を買い、外に出ると大きな雷が鳴り始めた。「まずい」と思って、宿までダッシュ。ゲストハウスのおばさんと話して、ベリーズシティ行きのバスを手配しているうちにスコールがやってきた。14:30頃だ。雨は約2時間。この間にシャワーを浴びて、日記をつけていると、時間はあっと言う間に過ぎていった。雨が上がり、再び宿を出て、島(フローレスは湖に浮かぶ小さな島)内をぶらぶら歩くことにした。雨上がりで涼しくて気持ちよい。残りのケツァル(現地通貨)も残りわずかなので、あまり何も考えずに町並みを見ているだけだ。さっき書いたハガキを落とそうと郵便局を探すが、ガイドブックの地図が間違っていて、聞き回るのに大変な思いをしてしまったが・・・

出店でポテトとジュースを買って、湖を眺めながら軽食。本当に気持ちがいい。手ぶらで出てきてしまったため写真に残せないのが残念だ。宿に戻って明日に備えて休む。


5日目へ