ペルシャ絨毯の魅力

12/18(水)

 朝6:32起床。最終日だ。一日も雨が降ることなく過ごせたのは感謝だ。9:00openの考古学博物館に行き、10:30からバザールへ。昨日の店へと足を運んだ。店ではメルダンと弟のミディが迎えてくれた。少し絨毯の話を聞いて、ミディがバザールを案内してくれることになった。テヘランのバザールは1.4km四方の非常に大きなもので、日用品が数多く並べられている。どこをどう歩いたのかわからないほど入り組んでいて面白かった。途中にあるモスクの中に入れてもらえるか聞いてくれたが、お祈り中の人もいて、さすがにだめだった。ちょうど12時に大衆食堂っぽいところに着いたので、休憩することにした。すべてペルシャ語表記だったので、チキンが食べたいとミディに伝えて、注文してもらった。ミディはテヘラン大学で経済学を専門に勉強していると言っていた。仕事は7時に始まって、14〜17時に終わるらしい。いい生活だ。あっという間の1時間だったが、夕方空港まで送っていってくれるということになって、かなり助かった。食事の最後にメールアドレスを交換して、彼の絨毯屋に戻った。

 チャイを飲みながら、3時間くらい絨毯の話を聞いた。これほど民芸品について知ろうと思ったのは今までで初めてだ。それほどペルシャ絨毯には魅力があるのかもしれない。20〜30枚の絨毯を広げてもらって、いろいろ説明してもらった。機械製やケミカル着色などは論外として、いろいろ講義を受けた結果、ぼくの好みは民芸模様のシルク&ウールだ。しかも赤を基調に、ところどころ白くシルクが入っていると、20年30年経ったとき、赤は深みのある色になり、白は対照的に光り輝くのだ。ヨーロッパではアンティークが好まれ、50年前の絨毯は数十万円になるらしい。子供が産まれてから成長とともにその価値を増していく絨毯が、それ自身価値のあるものにしているように感じた。何百年経ってもペルシャ絨毯がペルシャ絨毯であり続けられる理由だろう。今日は、ペルシャ絨毯博物館に行く以上にいい体験ができたと思う。

 そんなことを話している間に、スコットランド出身の客が入ってきた。とても陽気なおじさんで、話していて楽しかった。いつの間にか、旅行のおもしろさに浸っていた。「今」しか行けない国、できない旅行を楽しもうと思って、今回はイランを選んだのかもしれない。ここは、ぼくにとって歴史も慣習も宗教観も何もわからない国。知っていれば大したことじゃないのかもしれないけど、それをひとつひとつひも解いていく、そのちょっとした苦労と楽しさ、つきまとうハプニングは何にも変えられない。今この場所で、実は求めたもう一つの目的に触れていた。とてもいい時間だった。

 泊まっていた宿に荷物を預けていたので、取りに戻って、再びミディーの宿へ。しばらくすると17:00時。19:55発の飛行機に乗るため、ミディと彼のもうひとりのお兄ちゃんと3人で空港へ向かった。30分の道のりのはずだった・・・。しかし、道は大渋滞だ。テヘランの渋滞はこの2日間でなんとなく感じていたのだが、空港までは混んでいないだろうとタカをくくっていた。テヘラン中心地に仕事に来ている人たちの帰宅ラッシュと重なって、車が進まない!ビジネスマン(サラリーマンという言葉は嫌いなので)の心が目を覚ましてしまった。なんとしても日本に帰らなければ!

 空港着18:40。チェックインは問題なく、ほっとした。"I'm glad to meet you. I send e-mail from Japan!"と、彼らと別れて空港に入った。旅行の最後、空港内で手に入れたい物があった。「キャビア」である。国内では販売が禁止されていて、空港内のお店で厳重に管理されている。(市内でも売っているがばれたら罰せられるらしい)5、6個買っていこうかなと思っていたが甘かった。安い物でも、50gで41.5ドル!高い物は100ドル近い。金額の差は産地の違いによるものらしい。手持ちはなけなしの40ドルと15,000リアル(1.4ドルくらい)なので、ほんの少し足りない。買うべきか迷ったが、「迷ったら買う」のがぼくの経験則なので、悲しそうな顔で財布を広げて、"that's all"と言ってみた。すると、仕方ないなぁという顔で、キャビアを売ってくれた。"passport please."パスポートNO.を登録されて、レシート発行。ものすごい管理だ。今晩自宅でキャビア丼でも食べてみよっかな。

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