インドまでの時間と初日
12/10(日)
この2週間、仕事が毎晩遅く、笑ってはいても体は黄色信号だったかもしれない。でも、たとえどんなに忙しくても旅行のことを考えるだけで、力が泉のようにジワジワと沸いてきた。ある種の恋に似た気持ちのようだ。
日曜日の朝、不思議なくらい自然と目が覚めた。前日は2時に寝たのに、まだ6時だ。風呂に浸かって7時に家を出た。
空港には8:30前に着いた。カメラの電池をかって食事。搭乗手続きをしたとたんに疲れが果てしなくあふれ出した。「どうした?今までの疲れを今のうちにとってしまえ。旅はこれからだぞ。」そうつぶやいた。
飛行機で2時間のまどろみ。時は止まっていた。意識を失うような眠りから目覚めたとき、懐かしい気持ちを取り戻していた。エジプトに行ったときの、カンボジアに行ったときの、あの新鮮な気持ちだった。心が躍る。気持ちが押さえきれなくて、日常のすべてを忘れる余裕を体中に感じていた。デリーまであと4時間。静かに時を待とう。
今回の旅行は中学・高校の同級生片山との二人旅だ。片山はとなりで社会人になって今までの思いをつづっていた。
空港に着くと、案の定ひとりの男が寄ってきた。「ジャパニ?」タクシーの誘いだが、とりあえず国際電話を使いたくて、テレホンカードを探しまくった。後で知ることになるが、インドにはテレホンカードが存在しないのだ。結局デリー市内へはその男の車に乗り込むが、150ルピー(約400円)という良心的な値段に喜んだ。
タクシーの中で翌日の予定を話すと、長距離電車のチケットは駅ではとるのに何時間もかかると言われ、旅行代理店に連れて行かれた。断ったのだが、気付くと代理店の前。なんとも強引。車の中でかたくなに「もうちょっと行ってどこかで下ろしてくれ!」と大抵抗したが、代理店の主人が超流暢な日本語をしゃべって寄ってきたため、ほろっと車を降りてしまった。どこまでが本当かは別として、インドは切符のシステム上、混雑時に駅で即チケットを手にすることは難しいらしく、代理店の持ち分を分けてもらうのが一番手っ取り早いらしい。・・・と丸め込まれて買おうと思っていた飛行機のチケットと電車のチケットをまかせることにした。同時にその日の宿もお願いした。
その日は店主と、他の日本人二人と共にバーへ。もう2人のインド人が寄ってきて夜中まで飲んでしまった。店主を入れた3人のインド人はみな宗教が違っていた。イスラム教徒は今ラマダン(断食。日の出ている間は飲食禁止。旧暦のため毎年時期がずれる)だと言っていた。この日は疲れて疲れてシャワーも浴びずにベットへ。