マヤ文明とカリブ海

１０／１１（土）

とうとうやってきた最終日。ぐっすり眠って朝６時に目が覚めた。

バスターミナルで、10:30発のトゥルム行きのバスチケットを買って、タコスのチェーン店で朝食。２４ペソ（約250円）にしてはおいしい。バスの出発までダウンタウンの奥にあるベインテオーチョという市場でうろうろして、時間をつぶした。観光客を目的にした完全なgift shopの集合体で、見て回るだけでも面白かった。

10:30バス出発、12:30着。一等バス（冷房がききすぎる）だと、入り口から少し離れてしまい、そこからトゥルムまで、タクシーで＄２。さらにそこから歩いて１０分ほどだ。

暑い。海が近いからだろうか。日差しが痛いほど暑い。この日だけはと思っていた短パンのせいで、足がウィンナーみたいに赤くなってしまった。

足下が砂浜だからか、遺跡は入り口から雰囲気が違っていた。小さな遺跡なので簡単に見て回れてしまうが、何よりもすぐ先がカリブ海という組み合わせは面白い。中米において、密林と協和することで栄えてきたマヤ文明が文明後半にたどり着いたのがカリブ海を臨むトゥルムだ。マヤの遺跡を巡るこの旅行の最後に、トゥルムを選んだのにはそういう背景もある。そしてこの地が、後にスペイン人が初めて目にするマヤ文明だったなんて、歴史は本当に面白い。

少し歩いてとてもいい場所を見つけた。風の神殿がカリブ海と絶妙に解け合っている場所だ。ここで最後のエアメールを書くことにした。わずかにかかる海の雫、およそ遺跡とはかけ離れた汐の香り。ミスマッチともコントラストとも違って、うまい言葉が見あたらないが、そういう意味での完成度が非常に高い遺跡だと感じた。

帰り道、バスに向かう途中で、くだらない置き物に心を奪われてしまい、手持ちは７０ペソ（＄７）になってしまった。帰りのバスは、４．４ペソ。ぎりぎりだ。

実は、この後、帰り道沿いのアクトゥン・チェンに寄ろうと思っていた。ガイドブックには載っていない鍾乳洞だ。少しドルがあったので、バスを降りようとしたのだが、アクトゥン・チェンの鍾乳洞は国道からさらにオフロードを走らなければならないようだ。現地ツアーに入るしかないのか・・・いずれにしても今回は断念することとなってしまった。

１８時頃、バスはカンクンに到着した。明日空港まで行くお金を考えると換金せざるを得ない。小金（＄２０や＄５０など）があればよいのだが、あいにく＄１００とか10,000円札しかなく、やむなく諭吉に手を出してしまった。８００ペソget。３２０ペソ（空港への余力）を残して買い物だ。お金が使えると市場は一気に楽しくなる。とてもくだらない物が、とても魅力的に思えて、衝動を抑えるのに必死だった。

20:30、宿に戻ってシャワーを浴びる。翌朝７時（５時チェックイン）の飛行機は目の前だ。時間というのは、経ってみると本当にあっと言うまで、しかし、いつもの一週間と比較すると、肉がいっぱい詰まった餃子のように、おいしくて、ボリュームがあって、栄養があって、あっつあつだ。ちょっと高いけど・・・

早朝の飛行機に乗るとき、ぼくはいつも前日の深夜に空港に入る。どうせ寝れるほどの時間はないし、寝入ってしまったらまずいから、とっとと空港に入って朝まで日記をつけたりして待つことにしている。今回の朝７時はちょっと時間があくが、５時チェックインなので、２３時頃空港に向かうことにした。１００ペソ（約＄１０）。残り２２０ペソ。

空港着。なんだか様子がおかしい。あまりに閑散としているのだ。喫茶店で何時まで営業しているか聞くと、０：３０という。空港の従業員も「夜は閉めちゃうよ」と。え・・・？！いられないの？ここに？

ピンチだ。戻るお金はないし、宿もチェックアウトしてしまった。タクシーに聞くと「空港内はオフィシャルだから450ペソ（約＄45）だ」という。それは高すぎる。かといって、バスもなければ、交渉する他のタクシーもいない。
　「今、200ペソしかない。もう日本に帰るところだったんだ」と言うと、
　「もう一人探すから待ってろ」といって３０分以上待たされてしまった。結局相乗りは誰も見つからず、
　「今いくらある？」と聞くので、
　「だから200ペソしかない」と答える。
　「250出せるか？」とさらに聞くので、
　「220なら。これがぼくの持ってるすべてのペソだ」と答えると、渋々セントロまで送ってもらえることになった。

宿について、受付が開いていたので「空港が閉まっていたから」と伝え、元いた部屋に泊まることができた。ほっとすると同時に、どっと疲れてしまった。

翌１０／１２（日）、朝４時起き。手持ちは２２ドルと６ペソ（約７０円）。走っているタクシーを呼び止めると、＄３０だという。「昨日は１００ペソだった」と言うと、断られてしまった。次に捕まえたタクシーは＄１２。ほっとして乗り込む。くだらない経験とネタに＄３５を使ったと思うことにする。お腹がすいた。機内食はビーフにしよう。

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